犬は体調不良を隠そうとする
犬は、身体の痛みや体調の変化を、言葉で伝えることが出来ません。
また犬の祖先が野生で暮らしていたころは体調不良を敵に知られると命を狙われたため、犬はケガや病気をまわりに隠す習性があります。そのため犬はケガや病気による強い痛みを感じていても、それをまわりに気づかれないようじっと痛みに耐え続けていることがあります。

飼い主が気づいてあげることが大切
犬のケガや病気を放置すると、どんどん悪化して命を落とす危険性もあります。そうならないためにも、飼い主が普段から犬の行動をよく観察しておくことが大切です。飼い主が犬の異変にいち早く気がついてあげることで、早い段階での治療が可能となるので重症化を防いであげることができます。
犬の元気がないとき、症状によって対策は異なります。
症状その1.じっとしたまま動かない、呼んだり、おやつを見せても無反応

犬がじっとしたまま動かない、名前を呼んだりおやつを見せても無反応な場合は、犬がケガや病気により強い痛みを感じている可能性が高いです。
じっとしたまま動かないだけでなく、嘔吐している、下痢をしている、ぐったりしている、呼吸が浅く速い、苦しそう、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
じっとしていて動かないけど呼びかけには反応したり、おやつを見せたら寄ってくる場合は少し様子を見ても良いでしょう。
症状その2.嘔吐をしている

嘔吐するだけでなく、下痢をしている、食欲がない、ぐったりしている、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
また、吐いたものに血が混じっている、何度も吐く場合も、重い病気が隠れている可能性がありますので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
犬は空腹で吐くこともある
犬は長時間空腹だった場合、胃液(白い泡状の液体)を吐くことがあります。胃液を吐いたけど元気はある、食欲はある、といった場合は少し様子を見ても良いでしょう。吐いたものが黄色っぽい(逆流した胆汁)、どろどろしているときは、病気が隠れている可能性があるので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
症状その3.下痢をしている、便に血が混ざっている

下痢が一時的なものでなく長時間続く場合は、重い病気が隠れている可能性があります。また下痢だけでなく、便に血が混ざっている、嘔吐している、発熱している、ぐったりしている、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
食後の下痢は食べ物が原因かも
新しいドッグフードに切り替えたときや、初めての食べ物を与えたとき、犬が食後に下痢をすることがあります。これは、犬の消化器官が新しいフードに慣れていないために起こる一時的なものである可能性が高いです。
食後の下痢はアレルギー症状かも
アレルギー体質の犬の場合は、食べ物にアレルギー反応を起こして下痢をしている可能性もあります。新しいドッグフードに切り替えてから、しばらくしても食後の下痢が続く場合は、ドッグフードが合っていない可能性があります。
この場合は、新奇タンパク質のドッグフードなど、アレルギーが出にくいものに変更しましょう。
症状その4.身体の同じところを舐める、噛む
犬が、自分の身体の同じ場所ばかり舐めたり、噛んだりする理由はいくつか考えられますが、犬を抱き上げたり、身体に触ると痛がる場合は、ケガや病気などが原因で身体に痛みが出ている可能性が高いです。骨折をしていたり、重い病気の可能性もありますから、できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
ダニやアレルギーによる「かゆみ」が原因かも
犬は、ダニやアレルギーなどが原因で身体に「かゆみ」が出ていると、「かゆみ」を紛らわすために同じ場所を舐めたり、噛んだりすることがあります。
ストレスが原因かも
また犬は、不安などによるストレスが原因で、身体の同じところを舐めたり噛んだりすることがあります。
子犬の歯茎がかゆいからかも
子犬の場合、歯が生えるときに歯茎がムズムズするので、歯茎の違和感を紛らわすために身体を噛むことがあります。
症状その5.食欲がない
食欲がないだけでなく、ぐったりしている、下痢をしている、嘔吐している、急に痩せてきた、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
食欲はないけど、おやつは食べる、散歩は行きたがる、などの場合は、少し様子を見ても良いでしょう。
お口の中の「痛み」が原因かも
犬は、歯周病や口内炎などが原因でお口の中に「痛み」があると、ご飯を食べなくなることがあります。とくに、歯周病は成犬のほとんどが持つ病気で、重症化すると歯が抜けたり内臓にもダメージを与える恐ろしい病気です。
これ以上犬の歯周病を進行させないためにも、普段から犬の歯磨きをしてお口の中から歯周病菌を取り除いてあげることが大切です。
油分の多いドッグフードは食欲不振の原因となる
犬も人間と同じく、高齢になると消化器官が弱くなり、食欲が落ちてきます。もし、シニア犬なのに若い犬用のドッグフードを与えているなら注意が必要です。若い犬用のドッグフードは高カロリーで油分が多く含まれているので、シニア犬の弱った消化器官を痛める原因となります。また、シニア犬は運動量や代謝も落ちているのでシニア犬に高カロリーなドッグフードを与え続けるとあっという間に肥満体型になりますし、体重が増えたことで弱った足腰に負担がかかり老化を促進させてしまいます。
ただの「わがまま」かも
ドッグフードを食べないのは、ただの「わがまま」かもしれません。以前にドッグフードを食べないでいたら、違うご飯がもらえた、ふりかけをかけてもらえた、などの成功体験がある場合は、また同じものがもらえると期待して食べないでいることがあるようです。
症状その6.水を飲まない
水を飲まないだけでなく、ぐったりしている、食欲もない、下痢をしている、嘔吐している、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
ウエットフードなら食事のついでに水分補給できる
水は飲まないけど食欲がある場合は、ウエットタイプのフードを与えてフードから水分を摂らせましょう。ドライフードをお湯でふやかして与えるのも、水分補給のためには効果的です。
症状その7.呼吸が速い、または苦しそう
犬の呼吸が速かったり、苦しそうな場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
体調不良以外で、犬の呼吸が早くなる原因
運動した直後や、気温が高いとき、犬の呼吸が速くなることがあります。
気温が高くて呼吸が速い(パンティングしている)場合は、熱中症になる恐れがありますから、日陰に連れて行ったり、こまめに水分補給をするなど対策をしましょう。
症状その8.身体が熱い
犬の身体が熱い理由はいくつか考えられますが、ぐったりしている、呼吸が荒い、体温が39.5°以上ある、などの症状がある場合は、すぐに治療しないと命に関わる危険性があります。できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
体調不良以外で、犬の身体が熱くなる原因
運動した直後や、気温が高いとき、直射日光に当たったとき、暖房器具のそばに居るとき、犬の身体が熱くなることがあります。
犬の身体は「もふもふの毛」で覆われているため、もともと熱がこもりやすいです。また犬は人間のように汗をかいて体温を下げることができないので、体温調節が苦手です。
夏場の熱中症対策は必須
とくに、犬は暑さに弱い傾向がありますから、夏場はクーラーを24時間つけっぱなしにしたり、毛を短くカットしたり、気温の低い早朝に散歩してあげるなど、犬が熱中症にならないように対策しましょう。
冬場も熱中症に注意しよう
ホットカーペットや床暖房のように、部屋の全体を温めるタイプの暖房器具を使うときは注意が必要です。
私たち人間にとって、ホットカーペットや床暖房は足元のみが温められるので、心地よく感じますが、犬は私たちよりも身長が低いので、犬にとっては熱すぎるどころか、熱中症になって体調を崩す恐れがあります。
どうしてもホットカーペットや床暖房を使う場合は、床にクッションを置いてその上に犬が逃げられるようにしましょう。部屋の中に、必ず犬が涼める場所を確保してあげることが大切です。
スポット的な暖房器具がオススメ
犬が自分で体温調節できるように、湯たんぽや、小さなヒーターなどスポット的な暖房器具を用意しましょう。
とくに、ゲージの中でお留守番させたり、夜寝るときゲージに入れる場合は、小さめのヒーターを用意して犬が自分で体温調節できるようにしましょう。